はさまれ・巻き込まれ

「はさまれ・巻き込まれ」による労働災害も多く、型別死傷災害の約10%強で3番目に多いものとなっています。私がこれまでに報告を受けた労災の中では、「転倒」よりも多い印象すらあります。「はさまれ・巻き込まれ」による事故は、一歩間違えれると重大な災害につながる恐れがあること、ごくありふれた機械によっても起きることなどから安全衛生委員会でもよく取り上げられるからだと思われます。

  1. 機械運転中に手を出してしまう
  2. 作業手順書など決められたことが、守れない・守られない
  3. 機械の安全対策が不十分

原因としては、主に上記のようなことが考えられます。中でも根本的な原因は、1と2であると思われます。報告として多いのは、「運転中の機械にゴミなどの不純物が入った」「絡まってしまった」などの時につい手を出してしまったということです。トラブル時にはいったん機械を止めて対応するというマニュアルがあるにも関わらす、咄嗟に手を出してしまうということです。このようなことは作業終了後の機械清掃時にも多く、「機械を動かしながらの方がきれいに清掃できるから」ということで、ついやってしまうということもあります。もちろん、3の設備面が原因のこともありますが、やはり作業管理・行動管理といった人為的な側面が強いと感じています。

はさまれ・巻き込まれ災害の防止対策

上記のように「どうしてもやってしまう」という側面もあるため、やはり設備面での安全対策は有効です。具体的には、「危険個所を囲んで扉を閉めないと作動しないようにする」「人が近づいたときに自動停止する」「トラブル時には警報や表示がされるようにする」などインターロック機構を組み込むことです。「事故の発生しやすい箇所の近くに緊急停止ボタンを設置する」ことも災害の重篤化を防ぐことになります。このようなハード面での安全対策の導入はかなり進んできているように感じます。

行動面の対策としては、「きちんと作業手順を守る」ことを平素から啓蒙することが重要だと考えます。また、危険予知トレーニング、ヒヤリハット事例の共有、指差呼称での安全確認などを徹底することも重要です。これらの対策はまだ不十分なことが多いと感じます。

いくらハード面での対策を充実させても、行動面の対策がなされていなければ労働災害は減らないと思われます。「当たり前のことをしつこいくらいに繰り返す」という地道な取り組みを継続することも重要だと考えます。