被災者労働者は、商品を運搬用の台車から製品棚に移し替える作業をしていました。商品は、1個当たり10~15kg程度、台車から持ち上げる際はやや腰を落とす必要がある高さ、製品棚は胸部あたりの高さでした。台車から棚に移す際には、ほぼ直角に向きを変える必要がある位置関係でした。この方向転換の際に、つま先の向きを変えないまま、腰をひねって製品を棚に移そうとした際に痛みを感じ、急性腰痛を受傷しました。
本事例は、重量物取り扱いとひねり動作による典型的な急性腰痛と考えられます。腰を落として膝で持ち上げることについては気を付けていたようですが、方向転換する際につま先の向きを変えることを忘れて受傷してしまったようです。製品の高さを変えながら腰をひねったことも影響したと思われます。繰り返し作業をしていると、「つま先の向きを変えること」をつい忘れて、腰からひねってしまうことが見られます。十分に注意が必要です。