鉄粉を扱う事業所にて、床を掃除機で清掃していたところ突然、発火する事故がありました。この発火により、掃除機本体内部とフィルターおよび吸引ホースの本体側が焼け焦げました。幸い付近に窒息消火用の消火器があったためすぐに消し止め、延焼するには至りませんでした。
事故があったのは、2月で空気が乾燥している時期でした。使用していた掃除機は工業用のものでしたが、かなりの期間、使用した古いものでした。また、掃除機自体の清掃が十分でなかったこともありました。出火の状況から、静電気によって床に飛散していた鉄粉が発火したと考えられました。
鉄は、鉄板のような固形状・塊状のものは通常、発火することはありませんが、粉末状になると酸素との接触面積が増えて燃焼しやすくなります。このため、鉄粉は、消防法で第2類危険物(可燃性固体)に指定されています。鉄粉は、火気や加熱のほか、水分と触れることによっても発火する危険性があるので注意が必要です。
上記のような性質のため消火方法にも注意が必要で、乾燥砂や金属火災用粉末消火器などで窒息消火することになります。消火というと水をかけることを連想してしまいがちですが、危険物の中には水での消火が厳禁のものもあります。
事業場によって様々な危険物が存在し、発火の危険性があります。静電気が発生しやすい冬場は、特に注意が必要です。また、危険物によって消火の方法も異なりますので、普段から出火時の消火方法を周知しておくことも重要です。